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オンパレー オムパレの別名。
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その日は、端的に言って良い天気だった。 日差しは暖かく、風は心地よい。 広い草原に大の字に寝転がって、流れ行く雲を見ていれば時間の過ぎ去るのを忘れてしまうだろう。 今も目を上空に上げれば、空を行く竜とグリフォンの姿が目に入る。 「ねぇ、お頭」 崖の上で、空を見ながら一人の男が呟いた。 どうやら傭兵と見えて、革鎧と弓矢で武装している。 「……なんだ」 「俺たち、グリフォンに乗ってやってくる連中を襲うんですよね?」 答えた男と、その周囲にも同様の格好の男たちがたむろし、思い思いに空を見上げている。 そこにはなんらの詩的な感情はなく、ただ呆れたような、困ったような色だけがある。 「そう聞いてるな」 「空、飛んでますよね」 「飛んでるな」 「弓、届きませんよね」 「届かんな」 「どうしましょう?」 傭兵のリーダーと思しき男は腕を組み、しばし首を捻ると、 胸を張って部下に言った。 「――――お前が何を言ってるのかわからんな。 俺達は崖下の道を見張ってたんだ。 だから空なんか見なかった。 なぁ、そうだろう?」 顔を見せ合い、部下達もそれに同意する。 「そうっすね。 あぁ、まだ来ませんね」 「いつになったら来るんですかねぇ」 常に死の危険がある傭兵の仕事は基本的に前払いである。 死んでしまっては金も使えないからだ。 ならば危険はなるたけ少ない方が良い。 それが男達の共通見解だった。 /*/ 「いや、それにしても驚いたな。 これなら思ってたよりも早くラ・ロシェールの街に着きそうだね」 空を行くグリフォンに跨り、ワルドは自分の前に跨ったルイズに言った。 風の音が大きいので、声を聞かせようと思ったら叫ぶか耳元で告げるかしかない。 ワルドが選んだのは後者であった。 ルイズの耳元に口を寄せ、ささやく様に声を吹き込む。 「ギーシュ君か。 グラモン元帥とその息子達とは面識があったんだが、 彼は父上とは違って知将タイプらしいね」 言いながら自らの乗騎に括り付けられた荒縄を見やる。 グリフォンの首当てにつけられたそれは10メイルほどの長さがあり、 その先はタバサの使い魔であるシルフィードに結ばれている。 「この牽引法一つ取っても、軍で正式採用したら今までの常識が覆るよ」 竜種とは違い、グリフォンは長時間の飛行には耐えられない。 それはマンティコアも同じであり、このことは一日の行軍距離に影響してくる。 横目でグリフォンの翼を見る。羽ばたいてはいない。 バランスを取るために広げられてはいるがそれだけである。 なにしろこのグリフォンは、『レビテーション』の魔法で浮いているだけなのだから。 術者の意のままに動ける『フライ』とは違い、『レビテーション』はそれこそただモノを宙に浮かせるだけの魔法である。 だからそれをかけられたモノを動かそうとすれば、手で押すかなにかしなければならない。 そんなことは言われるまでもなく常識であり、だからこそワルドはタバサがグリフォンに『レビテーション』をかけ、 ギーシュが荒縄を括り付けているのを不思議に思ったのである。 もっとも、それはシルフィードと共に宙を舞いだした瞬間に驚愕と感嘆の念に変わったのであるが。 「ところで、縄の真ん中あたりに白い布が結ばれてるのはなんだい?」 「識別のためだそうですわ」 「ほう――――」 感心したような声を上げつつ、ワルドは背中を冷たい汗が伝うのを止められなかった。 手綱から感じる感触からも自分の騎獣が殆ど疲労していないのがよく解る。 前を飛ぶ幼竜とてもそれほど疲労はしていまい。 離陸の際には重みが加わっただろうが、一度飛んでしまえばそんなこともない筈だ。 それはつまり、二騎編成の隊を作ればほぼ一日中飛んでいられるということを指している。 一騎が曳航し、もう一騎を休ませる。疲れれば交替する。 しかも使う魔法はコモンマジックである『レビテーション』であり、 魔法衛士隊であれば誰でも使える魔法である。 しかも初歩であるが故に殆ど精神力を使用しない。 なにしろ学生が教室に帰るのに使う『フライ』よりも下位の魔法なのである。 予算も訓練も殆ど要らずに一日の行軍距離を飛躍的に伸ばす方法。 そんな夢物語がワルドの眼前で展開されていたのだった。 「ギーシュ君は、これを自分で考えたのかな。 それともタバサ君か誰かに教えてもらったのかな」 「さぁ? そこまでは知りませんわ」 嘘である。 実際はこの方法はブータが語った戦場の話に出てきたモノなのだ。 第二世界で、破損して浮くことしか出来なくなった天駆ける船を鳥神族が曳航した故事に基づく方法である。 だが、たとえ婚約者とはいえブータに関しては秘密である。 とても口に出来たものではなかった。 /*/ 「ギーシュよ、そんなに我が主人のことが気になるのか?」 「へぇぇ、ひょっとして、あんた、やっぱりそうなの?」 先ほどから何度も振り向いては後ろのグリフォンを確認する弟子に、 ブータは髯を震わせて声をかけた。 手持ち無沙汰なキュルケもそれに追随して面白そうな声を出す。 こちらはシルフィードの背中の上である。 乗っているのはキュルケとギーシュ、タバサとブータ、それにヴェルダンテとフレイムの使い魔たちである。 ルイズはブータと一緒にいたいと訴えたのだが、グリフォンに乗るには大きすぎるとのことでこちらに乗ることになった。 今ではタバサの背もたれになっている。 タバサの魔法によって風をさえぎられているため、普通の声でも会話するのに不自由はない。 風を止めることによって音を消す『サイレンス』の魔法の亜種とでも思えばいいだろう。 「何を言うんだいミス・ツェルプストー。ただぼくは貴族として、あのような破廉恥漢を許せないだけですよ」 言いながら青銅の薔薇で指す方をと見てみれば、背中からルイズを抱きしめながらその耳に囁くワルドの姿。 「あらま。あの殿方そういう趣味なのかしら? タバサも気をつけたほうがいいわよ」 「向こう、魔法使ってない。単に会話してるだけだと思う」 「ああ、そういえば何の魔法使うか聞いてなかったわねぇ。 衛士隊の隊長で、危険な任務を任されるんだからやっぱり『火』なのかしら」 あくまで暢気そうな女性二人の表情とは裏腹に、ギーシュは苦虫を噛み潰したような表情を崩さないまま口を開いた。 「……『風』だよ。 魔法衛士隊はぼくたちトリステイン貴族にとっては憧れだからね。 その隊長格の魔法くらいは知ってるさ。 あのワルド子爵は『風』のスクエアメイジだ」 ちなみに、ワルドが魔法を使わなかったのはギーシュが想像しているような理由ではない。 単に、初見の牽引法に驚いて注意がそこまで回っていなかっただけである。 ついでに言えば、グリフォン隊はおろか竜騎士隊の中にも会話する為だけに魔法を使う者はいない。 この魔法の使い方は、日頃から『サイレンス』を使い慣れており、 シルフィードを従えているタバサだからこそ思いついたものである。 「あら。それはそれは……でも、婚約者だからちょっとくらい、ねぇ?」 「ギーシュ、野暮」 「彼がルイズのことを本当に理解しているのならぼくも止めないがね。 あの時の彼の態度を見てるとそうは思えないな」 なるほどね、とキュルケは頬を緩めた。 やはりギーシュもワルドがルイズを小さい子のように扱うのが我慢できないらしい。 からかうネタが無くなるのは残念だが、ギーシュにとってのルイズは恋人というより友人なのだろう。 友人が馬鹿にされるのは許せないというわけだ。 暖かい目で自分を見るキュルケと猫にも気づかず、ギーシュは未だに文句を言っていたが、だんだんその矛先がおかしくなってきていた。 「まったく、マリコルヌも未だにルイズを馬鹿にするし、 ミスタ・ギトーにいたっては自分と違う属性は一段下に見る。 今度はワルド子爵か。まったく、『風』の属性のメイジは本当に……」 いつの間にか本を置いた眼鏡の少女が、小首を傾げて問いかけた。 「――――喧嘩、売ってる?」 前に戻る 次に進む 目次
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目の前の光景に、カステルモールは我知らず微笑を浮かべていた。 金髪の少年に食って掛かる桃色の髪の少女と、それを見守る友人たち。 その一人である青い髪の少女が浮かべたその表情。 それは満面と呼ぶには遠いほど微かで、しかもすぐに消えてしまいはしたが、 少女を真の主と仰ぐ派閥の者にとっては充分すぎるものだった。 姫が、シャルロットが笑った。笑うことが出来た。 ガリアでその少女と会った時の事を思い出す。 イザベラに王冠を被せられても、自分に魔法をかけられても動かなかったその表情。 人形娘と呼ばれても何も言い返さず、忠誠を告げるその声にも何ら動揺を見せなかったその瞳。 主君のその姿に、カステルモールはどれだけ心を痛めたことか。 無意識に手に力が入り、掌に触れた何かを握り締める。 これまで彼は主君がトリスタニアの魔法学院にいることを快く思ってはいなかった。 そうまでして厄介払いがしたいのかと腹立たしくも思っていた。 だがそれは今や初雪のように消えうせ、彼女が魔法学院に赴いたことを、友人を得ることが出来たことを、 そして何よりも彼女が再び笑みを浮かべるようになったことを始祖ブリミルに感謝した。 /*/ 一方、イザベラは同じ光景に我が目を疑った。 あの人形娘が笑みを浮かべるだなんて。 今までどれだけ嫌がらせをしても、どんな任務を与えても無表情だったあの子が、 しかもイザベラはその笑顔に見覚えがあった。 それはまだ彼女とシャルロットとが幼かった頃の思い出。 困ったように自分を見ていた優しい、活発な従妹姫がよく浮かべていた苦笑だった。 背筋を冷たいものが走る。 イザベラは確かにシャルロットを嫌ってはいたが、それはここ数年のことに過ぎない。 アルビオンに赴く前に父ジョゼフが言ったように、確かにイザベラとシャルロットが仲睦まじかった頃もあったのだ。 それが壊れたのは一体何時のことなのか。 イザベラはその時のことを今でも憶えている。 優しかった叔父の葬式。国を挙げての式典。 警護の目を盗んでシャルロットの元へ赴いた幼いイザベラ。 伯母やその侍従は式典の準備で忙しく、その部屋に居たのは無言で椅子に座る少女だけだった。 近づいて声をかけた。泣いているなら慰めてやろうと思った。 なぜなら自分はシャルロットよりも年上で、お姉ちゃんは妹を守るものだからだ。 伯父上はそう言っていつもわたしの頭を撫ぜてくれたのだから。 だから、今度は自分がシャルロットにそうしてやる番なのだ。 ところが、従妹姫からは何の返答も帰ってこなかった。 声をかけても何も答えず、肩を掴んで揺さぶっても、なんら動こうともしなかった。 それがイザベラとシャルロットの終わりであり、イザベラとタバサの始まりだった。 笑わせようとしても笑わない少女にイザベラは怒り、やがてなんとかしてその無表情を崩してやろうと躍起になった。 初めは歌を聞かせ劇を見せ、それでも無表情を崩さぬ少女に激昂した。 何度も叩き、嫌がらせのようなことを始めた。 笑わないならば、せめて嫌がる顔を見てやろうと思った。 人形ではなく、人間としての顔をもう一度見たかった。 周囲の人間はそれを見て、イザベラは従妹を嫌っているのだと信じた。 昔の二人を知っている者は彼女の周囲にはいなかった。 その人々はシャルロットの父シャルルを知っており、それゆオルレアン公派として蟄居あるいは解雇されてしまったからだ。 新しくイザベラに仕えた人々は噂した。 魔法の才能がないイザベラは、才能豊かなシャルロットを嫉んでいるのだと。 やがて時間が過ぎ去り、イザベラもまたかつての自分を忘れた。 従妹の笑顔を見たいと言う気持ちは、鉄面皮を崩さぬ従妹に対する苛立ちに取って代わられた。 姉として妹を見る優しさは、自分の気持ちを受け入れぬ少女への憎しみに成長した。 周囲の人間の態度もそれを助長した。 彼らはイザベラのシャルロットへの態度を良しとせず、しかし諫言することもなかった。 ただ彼らは、機械的にイザベラに仕えた。 前任者たちの末路を知る彼らにとって見ればそれが最も賢いやり方だったからだ。 そんな彼らでも、事あるにつけシャルロットを庇う姿勢を見せた。 彼らにして見れば我が侭な姫に嫌がらせをされる少女に同情するのは当然のことだった。 だがイザベラはそうは見なかった。 なぜ自分とシャルロットを見る家臣の目が違うのか。 同じ王家に生まれながら、なぜ皆はシャルロットを選ぶのか。 同じ血筋を持つ自分と彼女の違いは何なのか。 イザベラに思いつけたのは魔法の才能の有無だけだった。 才能に恵まれぬ自分とは違い、シャルロットは若くしてトライアングルメイジの力を持った。 それ故にこそ、皆はあの人形娘を敬うのだ。そうに違いない。 イザベラは父に願い出て、北花壇騎士団長の地位を得た。そしてシャルロットを部下にした。 従妹よりも自分が上位なのだと公式に示したのだ。 なのに、誰も自分を敬おうとはしなかった。 それどころか今まで以上にシャルロットに同情的な姿勢を見せた。 もはやイザベラの味方は誰もいなかった。 「シャル、ロット――――?」 泣きそうな、か細い声が聞こえる。 イザベラはそれが自分の声だとは信じられなかった。 騎士団長である自分が、一国の姫である自分がそんな声を出すだなんて。 まるで拭われたようにシャルロットの顔から笑みが消えた。 いつも通りの鉄面皮で、人形のようにイザベラを見た。 ぐらり、と視界が揺れるような感覚が彼女を襲った。 恐ろしい考えが頭を過ぎる。 もしかすると、シャルロットは自分のいない場所ではかつてと同じ笑みを浮かべていたのか。 自分の、人形ではない彼女を見たいと言う気持ちを、踏みにじって笑っていたのか。 もしもそうだというのならば。 それでは、自分は、とんだ道化ではないか――――! ふらつく足元に我知らず伸ばした手がカステルモールの掌に触れ、次の瞬間には握り返された。 驚いて顔を上げれば、微笑を浮かべる彼女の騎士の姿があった。 「――――カステル、モール」 その瞳は未だにシャルロットを見ており、意識してイザベラの手を握ったのかすら定かではなかったが、 それでも彼女には伸ばした手を握り返してくれる存在がいたことで充分だった。 そっと目を伏せる。彼がシャルロットを気にかけているのは知っていた。 オルレアン公派だということだって解っていた。 なぜなら彼が自分の配下になってからというもの、イザベラはずっとカステルモールのことを見ていたのだから。 アルトーワ泊の園遊会で、自分を抱きしめた腕のたくましさを、かけられた布の優しさを思い出す。 誰もが嘲りながら薄汚れた視線で自分を見ている中で、誰も自分を助けてはくれなかったあの時に、 カステルモールただ一人だけが自分の為に動いてくれたのだ。 それがどれだけ嬉しかったか、どれだけ喜ばしかったか。 例えそれが本来は自分に化けたシャルロットに向けられたものだと知ってはいても関係はなかった。 彼が自分を助けてくれたことに代わりはないのだから。 カステルモールを想うこの気持ちに嘘はない。 そして、カステルモールがシャルロットを想う気持ちにも嘘はないだろう。 深く息を吸い、吐き出すとイザベラは背筋を伸ばした。 解っていたのだ、自分のこの想いが実らぬことなど。 その証拠にカステルモールは、何時だって困ったように自分を見ていたのだから。 抱き上げて運ばせても、呼び捨てにしろと言っても、その態度は変わらなかった。 イザベラの想いに気づかぬ振りをし続けた。 実際は本当に気づいていなかったのだが、彼女にはそこまでは解らなかった。 だがそれでも、カステルモールが傍にいてくれた日々は彼女にとって何物にも替え難い日々だった。 一度だけ目を伏せ、そして開いた。いつも通りの、野卑と称して差し支えない笑みがその頬に浮かぶ。 求めたものはこの温もり。ならばそれを胸に抱いて、最後の時までこの日々を楽しもう。 笑みを浮かべたイザベラを見やった大猫が、楽しげに片眉を上げた。 目に見えぬ、音には聞こえぬ、だがそれでも確かに耀きだしたそれを感じ取ったのだ。 「さて、じゃれあうのはいい加減にしな」 声をかけて一座の注目を集めると、ガリアの王女は常のように傲慢な口調で言った。 「わたしの従妹が世話になってるようだね。まずは自己紹介といこうじゃないか。ええ?」 /*/ ガリアの王都リュティスの東端、ヴェルサルテイル宮殿。 さらにその中心に位置するグラン・トロワと呼ばれる建物の一室で、 現ガリア王ジョゼフ一世は小姓からの報告を面白げに聞いた。 「“両用艦隊”旗艦『シャルル・オルレアン』号。東薔薇花壇騎士団の方々と共に無事出航なされた由にございます」 そうかと手を振って小姓を下がらせ、机の上においた葡萄酒の杯を飲み干す。 その唇が笑みの形を取リ、抑え切れぬ声が洩れた。 今回の騎士団の出陣の名目は、アルビオンに向かったガリア王女イザベラ姫の保護である。 ジョセフには他に子供もおらず、自身の即位後の粛清によって主だった王族はほとんどいない。 唯一の例外が姪に当たるシャルロットだが、彼女もまたアルビオンの地にある。 ガリアとしては王の血が絶えるかも知れぬ事態を静観する事など出来ず、止むに止まれず兵を出したと言う筋書きである。 既にアルビオンを除く諸国の大使にはそのような説明文を送っており、今頃は本国への早馬が走っていることだろう。 なぜ当事国であるアルビオンに説明文を送らぬかといえば、内乱中で政情が定まっていないからに他ならない。 王党派に向けて書状を送っても貴族派に向けても、後々の政治を考えればよろしくない。 例え十中八九貴族派が勝つだろうと言う事が予測できていたとしても、 未だ結果の出ていないこの時期に旗幟を明確にしてしまえば何らかの裏取引があったのではないかと勘繰られる元になるからである。 それに、とジョゼフは新たな葡萄酒を注ぎながら思考する。 もしも『シャルル・オルレアン』号が内乱に巻き込まれれば、シャルロットとイザベラが傷でも負っていれば。 それはガリアがアルビオンの内乱に干渉する絶好の口実となるだろうし、 そうでなくてもトリステインの責任問題を追求できるかも知れぬ。 魔法学院がシャルロットの出発を見逃さなければイザベラがアルビオンに向かうことも、 ガリアが騎士団を派遣することも無かった筈なのだから。 隠してはいるが、東薔薇花壇騎士団の面々がオルレアン公派であることなど知っている。 であるならば、ここで戦力が削がれようとも問題はない。 捨てても惜しくない駒で打てる布石ならば打つのを躊躇う必要などどこにもなかった。 笑いながら手を伸ばし、机の端に置かれた将棋盤を引き寄せる。 駒を弄びながらジョゼフはかつて共に歩んだ指し手を思い出した。 「ああ、シャルル」 弟の名を呼びながら、その葬儀の時に見た娘の瞳を脳裏に思い描いた。 憎悪に染まった、あの青い瞳を。 今にも流れ落ちそうな涙をこらえ、それでもこちらを睨みつけていた幼い瞳を。 憎むべき宿敵に情けをかけられることは、あの娘には耐えようもない屈辱だろう。 イザベラがシャルロットに厳しく当たり、嫌がらせを繰り返していることは知っている。 それを報告された時、ジョゼフは思ったものだ。 我が娘ながらなんとも甘いことだ、と。 彼は知っている。 本当の屈辱とはどういうものなのかを。 それをもたらした者を殺さずにはおれぬ憎悪と怒りを。 今も忘れえぬその声が、彼に屈辱を与えた声が胸に響く。 『おめでとう。兄さんが王になってくれて、ほんとうによかった。ぼくは兄さんが大好きだからね――――』 ああシャルル、我が弟よ。 ジョゼフはもはや思い出の中にしか存在しない弟に語りかけた。 誰からも愛され、尊敬された、我が誇るべき弟、真にガリア王に相応しかった弟よ。 お前には想像もつかなかったのだろうな。 憎み、嫌い、呪っている相手にかけられた情けが、どれほど人に屈辱を与えるかを。 だから俺は、決めたのだ。 あの日、あの時、あの場所で、俺に情けをかけたお前を殺すことを。 そしてその屈辱を知るが故に、その資格のない者に情けなどかけてやらぬと言うことを。 怒りと憎しみで綴られたそれは誓約。 実の弟すらも手にかけた男が、自らと始祖に誓った約束だった。 その誓いに従い、男は国内に粛清の嵐を巻き起こした。 オルレアン公派と呼ばれる貴族たちを官位から外し、あるいは蟄居を命じた。 涙ながらに忠誠を誓う連中を始祖の御許に送り込んだ。 そしてその内の幾人かは貴族としての誇りある死すら認めず、平民の罪人のように処刑台に立たせた。 お慈悲を、と叫ぶ貴族を男は心底から嘲笑った。 かつては王の資格がないと蔑んだその口で、俺の慈悲を乞うか。 誇りよりも生命を取るか。だが誇りを捨てた者は既に貴族ではない。 ならば貴族を僭称した罪はその命で贖ってもらおうか。 逆に従容として意に従った者は勿論のこととして、 あくまでジョゼフではなくオルレアン公こそを主として仰ぐ貴族たちには死を与えず、最低限の生命だけは保障した。 なぜなら彼らは生命よりも誇りを選んだ貴族であり、ガリア王ジョゼフが情けをかけるに値する者たちだったからだ。 結果としてオルレアン公派は地下に潜って今も活動を続けている。 オルレアン公が残した種にジョゼフによって屈辱と言う肥料を注がれた苗木は、その根をガリア全土にはびこらせようとしていた。 そしてその華を咲かせるのは、今は遠くアルビオンにいる彼の姪シャルロット・エレーヌ・オルレアンである筈だった。 いや、そうでなければならなかった。 もう何年も前に失われた、自分自身の手で葬り去った愛しい弟の一人娘。 彼女のことを思えば心が躍る。父にそっくりなあの髪の色、あの瞳。 その彼女を迎えに行くのに、父の名を冠した艦以上に相応しいものがあるだろうか。 あの艦を見た時、その名を知った時、そして何よりも父の仇がそれを命じたと知った時、あの娘は一体どのような表情を浮かべるのだろう? 一体どのような瞳で、この俺を見るのだろう。 どのような憎悪を俺にぶつけるのだろう。 どのような怒りを俺に見せるのだろう。 ぞくりと背筋が震え、熱いものがこみ上げる。 「ああ、そうだ、それでいい。それでこそだ……」 唇の端が吊りあがり、男の顔に笑みが佩かれる。 幸せな、この世の悪意を知らぬかのような少年の微笑み。 夢想の中で、憎悪に染まったシャルロットの顔が弟のそれに重なった。 「シャルルよ、俺は、お前のその顔が見たかったのだ」 かつて愛した者の面影を胸に、ジョゼフは心の底から楽しそうな笑い声を上げた。 今回の没ネタ 「ところでイザベラ様、芝居はもう終わりということでよろしいですね?」 「……芝居、芝居ね……ああ、かまわないよ……orz」 「ねぇ、キュルケ。あの二人ってもしかして……」 「もしかしても何も、見たら解るじゃないのよ」 「カステルモール、でかした(親指を立てながら)」 前に戻る 次に進む 目次
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今日 - 合計 - 新世紀エヴァンゲリオン バトルオーケストラの攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月12日 (金) 13時24分21秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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鏡を見ながら身だしなみを整えるウェールズを見やり、副官は面白げに頬を緩めた。 「楽しそうですな、殿下」 「ん? ああ、楽しいとも」 笑いながらそれに答える王子。既にその美しい金髪は鬘の下に隠され、質の悪い脂を塗られた髪の毛を櫛で撫で付ける。 眼帯で片目を隠せば、さきほど船上でルイズと相対した空賊の頭の出来上がりだった。 「どうだろう、おかしくはないか?」 「畏れながら殿下、何を持っておかしいと言えばよろしいのか、 小官には判断できかねます」 遠見の鏡で船室での会話を聞き、ルイズを招いて詳しく話を聞かねばならぬと決めた彼らではあったが、 ではどのような格好で出迎えるかと言う段になって頭を悩ませた。 ことここにいたっては彼女達が貴族派に組しているなどとはウェールズも考えてはいない。 であるならば空賊の扮装は止めても良いのではないかというのが彼の選択であったのだが、 副官は静かに否やを唱えた。 物事と言うものは慎重に進めるべきであり、それが王族の行いならば尚更だと言うのである。 ここで正体を自分から明かすのは簡単ではあるが、それはいささか尚早ではないか、 貴族派に組していないとの言質を本人から取ってからの方が良いのではと具申する。 「要は形式ということか。 遠見の鏡で覗いて知ったと言うのでは体裁が悪いと」 「御意にございます」 ため息をつき、ウェールズは先ほど外した変装をもう一度行う羽目になったのである。 最初は嫌々ながらではあったが、副官の 『よもや誇りあるアルビオン貴族が空賊に扮していたなどとは誰も考えますまい。 あの少女が驚いた顔はさぞ美しいことでしょう』 と言う呟きを聞いたあとは態度が一変した。 それこそ意中の女性の愛を告げられた少年のように、実に嬉しそうに扮装を始めたのである。 この副官、伊達に王子に数年間仕えてはいないようだ。 /*/ ――――そのしばらく後、桃色の髪の少女にあっさりと王党派貴族であることを看破され、 しかも最初から気づかれていたことに涙目になる主従の姿があったのはまったく持って余談である。 /*/ 「しかし、カステルモール卿、いったい何故ガリアの騎士と姫君がこのような場所に?」 尋ねてくるギーシュに、カステルモールは困ったように視線を泳がせた。 最初から答えを用意しているのならともかくも、彼はこのような突発的な事柄には弱い。 それ故にタバサとイザベラを間違え、現在に至る要因の一つを作り上げているのだがそれはさておき。 「ああ、申し訳ないが、ミスタ・ギーシュ。 私の口からはそれは言うことが出来ない」 「なるほど、秘密任務と言うことですか? もしや我々のように大使の任を仰せつかったとか」 これは困った。まさかにもイザベラの我が侭だとは言えぬし、 タバサことシャルロットがよからぬ事を企んでいるのではないかと言う疑念すらも口に出すのははばかられる。 だがだからと言って沈黙すればギーシュの言を認めたことになる。 救いを求めるように視線を移すが、彼に答える者はいない。 先ほど空賊の長の部屋から戻ってきたワルドとルイズは、風に当たってくると言って部屋を出て行った。 驚いたことにこの船はアルビオン王党派のものであり、我々は賓客として扱われるのだと言う。 故にある程度の行動の自由も保障されたと言うのだが、 カステルモールとしてはいったいどうしてそんなことになったのか理解できない。 自分たちは空賊に捕まったのではなかったのか? 「野暮ねぇ。ギーシュ」 混乱し困窮する彼の窮地を救ったのは、猫のような笑みを浮かべたキュルケであった。 「お姫様と騎士が、二人っきりで小旅行よ? 少しは察しなさいな、モンモランシーに愛想つかされても知らないわよ」 「それだけは絶対にないと確信を持って言えるね」 胸を張って言ってのけたギーシュの横では、何を言われたか解らぬとカステルモールが不思議そうに首を傾げている。 本当に解っていないだろうその様子にキュルケがたまらず苦笑した。これじゃあガリアの王女さまも大変だ。 視線を移せば、当の王女は気難しげな顔でなにやら考え込んでいる。 おそらくは先ほどのルイズの言葉を反芻しているのだろう。 だがそれもしかたがないか。キュルケは深く深く嘆息した。 望むと望まざるとに関わらず、ルイズは人を変える。 彼女自身の言葉で言うなら嘘で嘘を切り裂く、のだそうだ。 自分には嘘をつくことしか出来ない、といつかルイズは言っていた。 『だから、わたしの言葉で誰かが変わったと言うのなら。 それは、その人の中に真実があったと言うことなのよ』 キュルケはイザベラを知らない。 タバサの従姉妹であり、ガリアの王女だと言うことは知っていてもそれだけだ。 後わかることといえばタバサに敵意を、そしてお付きの騎士に好意を抱いているくらいか。 タバサに聞けば色々と解るかもしれないが、当の本人は部屋からの外出許可がでてすぐに使い魔の様子を見に行くと言って部屋を出た。 どうもこの王女とは仲が悪いしようだから、一緒の部屋にいたくないのだろう。 あのタバサがそこまで人を嫌うのも信じられないが、血縁だからこそということもあるかもしれない。 これについては彼女から話してくれるまで待つしかないだろう。 だがまぁ、とキュルケは肩を竦めた。 たとえタバサが嫌っているとしても、ルイズの言葉に考え込んでいるだけこの王女はましなのだろう。 魔法こそが貴族の価値だと信じている者によっては、ルイズの言葉は魔法が使えぬ者の戯言でしかなく、 行動ではなく詐術によって人を丸め込むのがお前の言う貴族のすることかと憤慨する者もいるのだから。 ――――ちなみにあえて明言は避けるが、魔法学院の関係者では“疾風”の二つ名を持つ男がそうである。 「しかし、エルフか。 エルフとの混血……というか、混血できるのだな」 「確かにルイズは嘘つきだけど、そんなことで嘘はつかないと思いますよ。 何より意味が無いだろうしな」 そんなキュルケの思いを他所に、ギーシュとカステルモールが親睦を深めている。 カステルモールにして見れば心の主人であるタバサの友人を知っておきたいということもあったし、 考え込んでいるイザベラの邪魔をするのも気がひける。 それより何より、ワルドがいない以上はお互いが唯一の同性であった。 話題は先程の貴族の話から、エルフについてに移行したらしい。 「やはり耳は尖っているのですかね?」 首を捻りながらギーシュが言った。 悪名だけが知れ渡っているが、実際のエルフについての知識は殆ど流布していない。 耳が尖っていることと、先住魔法をつかうということくらいである。 「どうだろう。 耳が尖っていて奇妙な服を着た男ならガリアの王宮で見たことがあるが、 あれは断じてエルフではないだろうしな」 「ほほう?いったいどんな人物なのです?」 興味深そうにギーシュが言い、キュルケも耳をそばだてる。 そんな二人を見ながら、騎士はその男を思い出したのか嫌そうに顔をしかめてこう言った。 「男の癖に顔を白く塗っていて、白い奇妙な服を着ていてな、いつもクネクネと腰をくねらせて歩くのだ」 /*/ 徐々に近づいてくるアルビオンの威容を見ながら、タバサはそっと親愛なる使い魔に背中を預けた。 シルフィードがその頭の上に乗せたブータともども心配そうな目で見るのに軽く手をふり、本を開く。 だがその瞳は文字を追わず、脳裏に浮かぶのは先ほど部屋で見た従姉の姿だけだった。 ガリア王ジョゼフの娘、イザベラ王女。タバサにとっては敵の一人。 彼女は憶えている。王弟であった父に仕えていた多くの人々。 自分に優しく接してくれた、性格も身分も違うたくさんの人々。 その多くが職を追われ、あるいは殺され、罪に問われた。 自分たちが、母が、父が何をしたのか。 何の罪もなく殺された父さま。覚えのない不名誉印を受けた大公家。 自分を庇って毒を呑んだ母さま。そして狗として使われている自分。 先ほどルイズの語ったような過去の話ではなく、今も続いているガリアの、そしてオルレアン大公家の現実。 その現実を作っているのはジョゼフであり、イザベラである筈だった。 そうでなければならなかった。 タバサは一度本を閉じ、そっと空を見上げた。 雲の上にいる為に、視界には青い色しか見えない。 幼い頃から見ていた彼女自身の、そしてイザベラの髪の色だった。 タバサは知っている。王家に生まれたが故に他に友人も作れず、ずっと二人きりで遊んでいたあの従姉を。 タバサは憶えている。イザベラが正論で言い負かされた時、そしてそれを彼女自身が理解している時、どんな態度に出ていたかを。 だからタバサは気づいている。イザベラが、ルイズの言葉に本当はどんな感情を抱いたかを。 そしてそれがタバサにはどうしようもなく嫌だった。 膝を抱え、怯えるように身体を抱く。 そっと胸の奥の扉を開け、懐かしいあの時代に心を馳せた。 それはまだ彼女が幼く、父と母と、そして年上の従姉に守られていた頃の思い出。 魔法が上手く出来なくても、それでも自分が姉なのだと胸を張っていた優しいあの子。 いつか二人で立派な王女になって父や叔父の手助けをするのだと誓い合ったあの言葉。 血を被り、手を汚し、汚濁と憎悪の中で時間を過ごし、それでも忘れられないあの光景。 シャルロット・エレーヌ・オルレアンが雪風のタバサになるに至った理由の一つ。 もう絶対に戻らないが故に神聖視されたその情景。 帰らぬ人となった父。心を病まされた母。そして変わってしまったイザベラ―――― なのに、その一つが帰ってきてしまったら。 この手にもう一度それが戻ってくるとしたら。 知らず知らずのうちに腕に力が篭る。 胸の奥に暗い何かが灯る。 イザベラがかつての彼女に戻ってくれるのはいいことだ。 本当に嬉しいことの筈なのに。 なぜだろう。 それをしたのが自分ではないと言うだけで、その切っ掛けを与えたのが自分ではないと言うだけで、 何でこんなに胸が苦しいんだろう。 何でわたしが出来なかったことを、ルイズはいとも簡単にしてしまうんだろう。 まだ出会ったばかりの頃、酔ったキュルケが言っていたことを思い出す。 魔法が使えないルイズは、魔法が使える自分たちでは出来ないことだって簡単にしてしまう。 魔法が使えないルイズが、魔法が使える自分たちよりも貴族らしい事をする。 ならば、自分たちが誇りにしている魔法に意味はあるのか。 もしも魔法が取り上げられたら、自分はルイズに勝てるのかと。 そうか、とタバサは思った。 キュルケもきっと、こんな思いでルイズを見ていたのだ。 「どうしたのね、お姉さま。 またあの女に苛められたのね? 許せないのね、きゅいきゅい!」 心配そうな声のシルフィードの囁きにも返事を返さぬタバサを見やり、ブータはやれやれと首を振った。 長い年月を過ごしてきた大猫には今のタバサの想いが感じ取れた。 ブータの脳裏に車椅子に乗った青年と、整備道具を持った女性の面影が去来する。 猫は竜から下りると、タバサの横で温もりを分けるかのように身体を摺り寄せた。 こればかりは部外者が口を出せる領域ではない。 イザベラとタバサの関係をよく知らぬブータに出来るのは、タバサがそれに呑まれぬように祈ることだけだった。 それは誰しもが抱く心の陰。 ルイズの語ったゆめとは相反する、しかし人の心が生み出したことには違いないあしきゆめ。 人と違うことを受け入れられず、人と違うが故に自分を劣った者として見てしまうその感情。 大切なものを人に奪われそうになった時に抱く、暗く闇に満ちたその思い。 かつて第五世界でブータの友人たちに取り憑いた、嫉妬という名のあしきゆめだった。 前に戻る 次に進む 目次
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緑のオーケストラ参加者リスト 第1ステージ回答者 正解:劉輝 抽選:だご 古村 さちひこ 歌月 七飾 蛍 一号 このよのさん 高原鋼一郎 どい よんた 幻想夢幻 光で輝き 阪 玄霧 堂島 丸の進 ぽんすけ taisa タカ 高渡 なかだい noriko AS 詩歌 神室想真 ダイチ 優樹 ミカン たる Hastur たくま ちびいか 虎さん まのせ マ カヲリ 下・T 雅戌 マスターK 漆黒の流れ星。 華南 恋 ナマモノ アッシュ アクター 12番機 帽子犬 海清卯龍 ニーズホッグ sakaki ちせ take 可銀 マグ iTA R子@サーモンピンク 刀神 戒 第2ステージ回答者 正解:帽子犬 抽選:なかだい しらいし裕 haru 八軒 真琴 坂凪 光で輝き 詩歌 プレミア 那限逢真 stand 華南 恋 絢人 月虹 峰倉 tera 第3ステージ回答者 正解:光で輝き 抽選:sakaki だご 高渡 まだら牛 さちひこ プレミア なかだい 古村 那限逢真 竹きのこ ダイチ よんた 睦月 星野十郎 芒 伏見 ぽんすけ WWW 祐輝 空飛びペンギン 八軒 玄霧 峰倉 歌月 優樹 SQS 柿食う客 詩歌 キギ 真琴 朧 ニードル 葛野 冴月 とよたろう たぐ 庄津K太 カイヨウ しらいし裕 さくらつかさ 真神貴弘 たらすじ からす 姫つつじ こやっこ haru ラムゼイ 刀神 迅 遊佐 月 第4ステージ回答者 正解:まだら牛 抽選:不明※ 真琴 Shunki 歌月 高原鋼一郎 イヌヒト たくま 那限逢真 WWW だご しらいし裕 プレミア 七海 雅戌 AS 八軒 GRACE まだら牛 竹きのこ 庄津K太 峰倉 天河石 sisi 水式 ニーズホッグ どい stand akiharu ミサ 佐保乃 阪 高渡 梅雪 若狭 祐輝 サク 古村 優樹 小奴 神室想真 玄霧 葛野 よんた アズマ とよたろう ギギ さちひこ 舞花 まのせ 詩歌 しんや 睦月 文月(仮) 虎さん GENZ 双月 下村 ぽんすけ 芒 海清卯龍 からす ラムゼイ 城 凍矢 星野十郎 七飾 蛍 ASUKA iTA ハイソックスロムサーン R子@サーモンピンク ナナシ 浮椎吾 ダーム 武図書 伏見 空とびペンギン 遊佐 ダイチ 真神貴弘 玲夢 12番機 月代 刀神 さくらつかさ 只のひと ハチベエ みなかた ミサゴ たらすじ ナマモノ らおみょん ODA 月虹 唯月 vrog おんち 風追い人 |∀・) マグ 若月宋一郎 え~ sf ちさ 堂島 芥 星川 このよのさん 無明新月 空野 さんご 狂志郎 にゃーしゅ 紫炎 ※瀧川(瀧川一族)は何故狙われるのかという内容の質問者は以下の通り。 しんや ダイチ 12番機 みなかた 月虹 風追い人 紫炎 第5ステージ回答者 正解:天河石 抽選:歌月 たくま 詩歌 雅戌 二代目 十五夜 manaly 虎さん さちひこ 狼伍長 まつも兎 玄霧 只のひと わんちょぺ しらいし裕 メビウス ke! RisKey あやじろう ニードル 六号機 空飛びペンギン とよたろう 青狸 熾正 このよのさん さくらつかさ どい 双月 紫炎 ハイソックスロムサーン つづみ WWW 沙崎絢市 真琴 キギ 文B-G ルクス stand 最終ステージ回答者 正解:浮椎吾 抽選:睦月 GENZ 雅戌 腐男子 RisKey 船橋 とよたろう キギ 真琴 このよのさん だご 雨中 虎さん 唯月 磯辺 りょー 刀神 さちひこ おにくす 武図書 みなかた 水薙楓 空飛びペンギン clover(clvoer) 青狸 水式 ミサゴ 十五夜 狼伍長 双月 くろがね ライムライト 高原鋼一郎 龍希 ニードル 土木念人 メビウス 芒 SEIRYU たらすじ 玲夢 海清卯龍 ヘクソカズラ え~ 狂志郎 しらいし裕 松本 裕也 芥 にゃーしゅ シーヒュー 456博士 二郎真君 南天 玄霧 濃紺 高渡 GRACE Holy Loly 峰倉 祐輝 ほくと たくま さくらつかさ 風追い人 八軒 stand 紫炎 もえぎ 阿部 みー WinR 道化見習い ke! 那限逢真 ODD EYES 竹きのこ 芳野秋生 カルタ GS 相葉 翔 舞花 雨花 プレミア configocean haru ひわみ 龍月あさと りなこ 熾正 堂島 かちゅーしゃ くぎゃ~と鳴くけもの akiharu ニーギ追っかけ小隊長 里文 つづみ ちゃき 戻る→儀式魔術/緑のオーケストラ
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【TOP】【←prev】【Wii】【next→】 のだめカンタービレ Dream Orchestra タイトル のだめカンタービレ Dream Orchestra のだめカンタービレ ドリームオーケストラ 機種 Wii 型番 RVL-P-RNDJ ジャンル 音楽ゲーム 発売元 バンダイナムコゲームス 発売日 2007-12-27 価格 6090円(税込) 駿河屋で購入 Wii
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Ver. PR カードNo. PR-081 種類 インターセプト レアリティ PR 名称 ロストボーイパレード 属性 青 CP 1 アビリティ あなたのユニットがアタックした時、対戦相手は手札を1枚ランダムで捨てる。 あなたのユニットが破壊された時、対戦相手のレベル2以上のユニットを1体選ぶ。それを破壊する。 WLWコラボカードの1枚。 青属性に豊富な手札破壊とレベル参照破壊を使い分けられる。 第一効果はアタック時に手札破壊を行う。 CPを要する分、CP0の侵撃の魔手よりもハンデスの質は高い。 第二効果は被破壊時に反応してレベル参照除去。 能動的に扱いやすい第一効果を優先して使い、 第二効果は相手の手札を破壊し尽くした後や緊急用として使うことになるか。 初出:イベントバトル 12th-with ワンダー(Ver.1.3EX2/2015年3月) コラボ元のWonderland Warsでの効果は「使用者の攻撃力と味方全員のスピードを上げる」というもの。 フレーバーテキスト 童話世界に戦乱が起こるとき、永遠の少年は魔法の力で立ち上がる。失われた未来と引き替えに、正義は無慈悲に執行される。 関連項目 WLWコラボユニットシャドウ・アリス ジュゼ リトル・アリス 火遠理 シグルドリーヴァ シュネーヴィッツェン WLWコラボインターセプトおおきくなるよ! タイムオブプリンセス ロストボーイパレード 境地・修羅無双 大猿帝の咆哮
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それは唐突に起こった。 ルイズがトリステインからの大使だと聞いたイザベラが何の気なしに口に出したのだ。 「じゃあ、魔法の腕もいいんだろうね。トライアングルかい?」 トリステインはガリアと並ぶ魔法大国である。 違うことと言えば、昨今のガリアでは建前上は魔法の優劣で人間の優劣は決まらないとされていることくらいだ。 これは多分に現ガリア王ジョゼフに魔法の才能がないという事実に端を発している。 魔法が使えないものを下に見るということは、すなわち国王を、 即位早々に大粛清を行った暴君を愚弄し、侮辱することになるのだから。 もっともそれは正しく建前上の問題だけであり、表に出せない分だけ根深い差別を生み出す温床となってもいるのだが。 一方トリステインはどうかと言えば、その先王は風の属性を持つアルビオン王弟でもあり、 その王女アンリエッタもまた水のメイジである。魔法の才能ある者に対する優遇はガリアの比ではない。 ましてやルイズの実家はヴァリエール公爵家。現当主とその夫人の双方がスクエアメイジであることは有名であり、 非合法とはいえ騎士団団長をしていたイザベラの耳にもその家名は届いていた。 ただし、その子供たちに関しては三人ともが女性であることもあって詳しい話は伝わってはこなかった。 公爵家を告ぐのはその入り婿であるだろうから、娘たちに婚約者が出来ればそれを調べれば良いという判断があったからである。 ちなみに一番可能性の高い長女の婚約者については、あまりに頻繁に変わる所為でそれ専門の部署が作られたと言う事実もあるが、 流石の北花壇騎士団団長もそこまでは知らなかった。 とまれ、イザベラの問いにルイズは何の気なしに答えたのだ。 「いいえ、わたしは魔法は使えないわ。 使えたのは二回だけ。ブータを呼び出した時と、契約した時だけよ」 はにかみながらそう言って微笑みながらブータを撫ぜるルイズ。 驚き、呆然としてそれは本当かと目線で問いかけるイザベラとカステルモールに、 ギーシュとキュルケ、タバサはあるいは言葉で、そして態度でそれが本当であると保障した。 彼らはルイズが嘘つきであることは知ってはいたが、彼女が魔法が使えぬことは事実であったからだ。 それを見たカステルモールは隣の少女が聞いてはならぬことを聞いてしまったのではないかと微かに顔を歪め、 ワルドはそれを知ったガリアの主従の言葉や態度でルイズが傷つくのではないかと懸念を抱いた。 タバサは我関せずと懐から本を取り出し、ギーシュとキュルケは何かを期待するかのようにルイズを眺めた。 彼らはルイズがそのような事で傷つかぬと誰よりも知っていたし、何よりも彼女がつく嘘を好ましいと思っていたからだ。 「嘘だね! 信じないよ! トリステイン貴族のあんたが、しかも大使様が魔法を使えないなんてさ!」 ――――そしてイザベラは身体を震わせ、真っ赤な顔で激怒した。 驚いたようにキュルケとギーシュが顔を見交わす。 彼らには解らなかったのだ。なぜ、イザベラが怒り出したのか。 それはカステルモールやタバサ、ガリアの王女を知る者たちも同様だった。 魔法が使えぬルイズを蔑むのならまだ解る。哀れむのも理解できるだろう。 だが、なぜイザベラが怒ったのかは解らなかった。 ワルドはイザベラの瞳と表情に微かな既視感を憶えて首を傾げ、 ブータは異世界での車椅子に乗った友人を思い出して沈痛な息をついた。 「信じない、絶対に信じない! やっぱりあんたも人形娘と同じで、あたしを馬鹿にしているんだろう!?」 叫ぶイザベラの脳裏に、ガリア宮殿での記憶が蘇る。 魔法の才能の無い自分に向けられる侮蔑の視線。呪詛の様に耳に届く嘲りの言葉。 自分と従妹を比べる視線と言葉に、一体どれだけ眠れぬ夜を過ごしたことか。 どれだけの憎悪と屈辱を両手に抱えて日々を過ごしたことか。 なのにこの娘は、トリステインの大使として選ばれたこの娘は。 友人たちに囲まれて笑うこの娘は言うのだ。自分には魔法が使えぬと。 自分が欲しかったもの。かつて夢見たもの。 叔父の死と共に失われた筈の従妹の友情。 自分を蔑みも嫌いもしない友人たち。 その全てを手に入れているこの娘が魔法を使えぬなど、そんなことがある筈が無い。 「始祖ブリミルにかけて、そんなことがあっていい筈が無いんだ!」 血を吐くようなイザベラの叫び。 キュルケにも、タバサにも、ギーシュやカステルモールにもその心情は理解できなった。 なぜなら彼らにとっては魔法を使えることは当たり前のことであり、自分の才能について憎悪したことなどなかったのだから。 ワルドは一度だけ目を瞑り、そして桃色の髪の自分の婚約者に視線を向けた。 遠い昔を、もう夢のように思える微かな記憶を思い出したのだ。 庭の湖に浮かぶ小さな小船で泣いていた幼い少女。 魔法が使えぬから父も母も姉も自分を嫌うのだと、その瞳に涙をためて。 魔法が使えぬから召使いや平民にすら馬鹿にされるのだと、唇をかみ締めて。 魔法が使えぬ自分が全て悪いのだと、ただ自分だけを責め続けていた、小さい姫君。 自分はあの時なんと言ったのか。そんなことは憶えていない。 けれど、なんとかしてその涙を止めたいと思ったことだけは憶えている。 それは彼がまだ若く、その手を血に濡らすことも、謀略の泉の水を飲むことすらなかったことの遠い夢。 彼は彼女の手を取って小船から連れ出して、けれど何も言えなかった。 彼に出来たのは彼女をその姉に渡して、同じ髪の女性の胸で泣きつかれて眠るまでその傍らにいることだけだった。 「あなたには、居なかったのか、イザベラ王女。 魔法が使えずともあなたを好いてくれる人は、ミス・フォンティーヌのような方は」 ルイズが驚いたように目を見開いた。 彼女はワルドの口に出したその人を知っていた。誰よりもよく知っていた。 カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ。 ヴァリエール家の次女。ルイズの優しいちい姉さま。 魔法が使えず泣く自分をいつも抱きしめて慰めてくれたその人。 魔法が使えなくても、あなたは私の妹よと言ってくれるその言葉に、自分はどれだけ救われたのか。 わたしだけでなく、父さまも母さまも姉さまもあなたが大好きよと語るその声に、自分がどれだけ慰められたのか。 ただ微笑んで、優しく抱きしめてくれるそのぬくもりが、どれだけ自分を守ってくれたのか。 「誰だいそいつは!?」 腹立たしげにイザベラが叫ぶ。 魔法が使えなくても自分を好いてくれる人物? そんな者が居る筈が無い。 父は確かに娘の自分を愛してくれてはいるが、それは彼よりも自分の方が魔法の才能があるからだ。 カステルモールの忠誠はシャルロットの下にあるし、北花壇騎士団の部下達も自分に好意など持っている筈が無い。 宮殿の下働きたちや貴族たちも同様で、 ――――イザベラ、シャルロットと仲良くしてくれてありがとう―――― 息が詰まる。 そんなことはある筈はない。 だってあの人は、魔法が使えぬ兄に不満を抱いて、 ――――君がシャルロットと仲良くしてくるから、本当に助かるよ―――― だから、謀反を、計画して。 父上を殺そうとして、でも、仲間割れで、殺されて、 ――――これは内緒だよ? 僕はね、兄さんが大好きなんだ。兄さんこそがガリアの王になるべきだ―――― あたしを、父上を、騙して、馬鹿にして、裏切って、 ――――兄さんは僕を嫌いかもしれない。だけど、イザベラ。シャルロットが君を好きなように、僕も、兄さんが―――― 「いない、いなかった! 誰も、誰もだ! 誰も、あたしのことなんか……!」 ――――あのね、イザベラ姉さま。わたしね、大きくなったら、イザベラ姉さまのお手伝いをするの―――― 脳裏に浮かぶ声を、まだ幸せだった頃の思い出を黙殺する。 忘れようとした訳ではないのにもう思い出すことすら少なくなったそれを、 まだ自分が従妹と共に笑い会えていた頃の幻影を、醜い嘘で塗りつぶす。 アレは無かったのだ。自分はずっと一人で、優しかった叔父も、懐いてくれていた従妹も、全ては欺瞞でしかなかったのだと。 「魔法さえ、使えれば、いや、魔法さえ、なかったら――――!」 力なく俯くイザベラを見やり、ルイズはそっと目を伏せた。 ああ、もう一人の自分がここに居る。 もしもあの日、あの時、あの場所で、あの人に出会わなかったのならば。 頑張れと、絶対に負けるなと言われなかったならば。 自分は今のイザベラのように、魔法が使えぬことを免罪符に、自分に嘘をつき続けていたことだろう。 遠い記憶が蘇る。 『世界は嘘に満ちている。けれど嘘は嘘によって切り裂かれる。その時、最後に残るものこそが真実だ』 そう教えてくれたあの人。 名前も知らず、もはや顔さえもおぼろげで、声すらも定かには思い出せない恩人。 けれどあの人がくれた魔法は、この胸の中に今もなお輝いている。 ルイズはワルドに視線を送り、微笑んだ。 かつての自分を知る、優しい婚約者。 ただ一人かつてのルイズを知るが故に、イザベラがもう一人のルイズだと気づかせてくれた優しい人。 わたしは魔法を使えない。わたしは大嘘つきで、だから嘘をつく事しか出来ない。 だから、わたしは、もう一人のわたしの涙を終わらせるための嘘をつこう。 「――――“それがどうした”よ。イザベラ王女」 胸の首飾りに光が宿る。 そして大嘘つきの少女は、たった一人の少女のために世界すら相手取る嘘を唇に浮かべた。 前に戻る 次に進む 目次